前回のブログでは、5日間通うと絵を描く力が圧倒的に上がるワークショップの出会いと体験の概要について書きました。
今回はその効果や感じた事にやや詳しく触れてみようと思います。
①「みる技術」 、「センシングモード」と「センシングフロー」
ワークショップの先生が強調していたのは、「このクラスで学ぶのは、描く技術では無く、観る(?)技術です。これが出来る様になると描くのも上手くなっていきます」という事でした。
この話を聴いて思ったのは、ここで求められているのは「在るものを在るがままに五感で受け止める」という事かなと。英語で言う所の「sensing」ですかね。
実は、仕事柄、この力のレベル向上が課題と思っていたので願ったり叶ったりです。ただ、課題であるだけに、この能力は私が最も苦手とするものだったりもします。
なんせ、私の能力の利き手はMBTIでいう所ではN(しかも主機能!)でして、入ってきた情報から連想されるものに思いを馳せたり発想を取り入れる事に集中するというタイプなのです。
そんなわけで、この五感でインプットした情報をありのまま受け容れる感覚を掴むのには正直大変苦しみましたが、それでもなんとか体得する事ができました。この感覚、正直、今までに殆ど使ったことのない不思議な感覚でした。
加えて、この「センシングモード」に気持ちよく没頭する、いわゆるフロー状態も味わう事ができました。
非利き手にあたる領域でまさかフローを体感するとは夢にも思わなかったのですが、味わってみると大変興味深いものでした。さながら別人になってしまったかのような妙な感覚です。
ワークショップ直後の1、2日はこのモードが余韻として残り、いつもの自分のモードに入れなくて少々戸惑いもしましたがやがて混乱も解消されて行きました。
②「スローラーニング」
このワークショップのウリは「5日間通うだけで絵を描くのが上手くなる」というものですから、受け手の印象はどちらかというと「スピードラーニング」的なものになると思います。
ところが5daysを終わっての印象はかなりの「スローラーニング」です。
本質的に重要な技術を一日ずつかけてゆっくりと時間をかけて徹底的に体に落とし込んでいくやり方なんですが、一見矛盾していそうだけれども、実はそれこそがスピード早く上達するポイントになっているようなんです。ここ何十年もスピードアップが仕事でもサービスでも能力開発でも大命題になっていますが、意味のあるスローさを賢く取り入れるのは重要だなと痛感しました。
③「描く個性と成長個性」
「人はみえ方(ものの捉え方)には個性がある。自分のその特質を知る事も上達のコツです」と先生に教えられました。
この事については、最終日に自分のものの捉え方の個性がわかってきました。私の場合は描く対象物をジックリと時間をかけて全体を把握してからでないと一切何も描け無い事がわかりました。一部だけでも理解しながら少しづつ手を進めていくという事が全く出来ない。だから、そこそこの時間が経過しても、全然描けなくてうんうん唸っていることは不思議じゃありません(ちなみにこの時の対象物は自画像でした)。代わりに全体像を把握してからのスピードはかなり速い方だと思います。
かなり不器用な感じですが、面白いことに、これは私の学習・成長パターンと共通していました。私は何か新しい事を始める時は、最初に長いこと上達出来ず「使えない木偶の坊モード」を続け、あるタイミングで全体を把握した瞬間に急速上達をするというパターンを描きます。
こんな個性の共通項があるなんて面白いですよね。
④「脳の可能性」
今回のワークショップで興味深かったものの一つに、「老若男女等による成長の伸びの差異は見受けられなかった」ということがあります。
一般に、若いほど学習効率が高い(もしくはアートは女性の方が上手になる)と思いがちですが、学習の種類によっては当てはまらないものも結構ありそうです。
むしろ「自分は@@だから伸びない・出来ない」という枠を取り外すことが出来れば、脳の可能性はまだまだ無限大にありそうな気持にさせられました。
今後は仕事面においてもより確信を持ってこの考え方でアプローチしていきたいなと思いました。
⑤「アートは全ての人が持っている力」
ワークショップの後半になって面白いなぁと実感したのですが、ほぼ同じ対象物を描いているのに絵の感じが個々でかなり違うのです。
昔の私はこれを「個人の技術差」と一言でスパっと片付けていたのですが、どうやらそれは違う様です。それは個々の見え方・表現の個性と考えた方が適切だなぁと思えてきました。それぞれかなり絵の趣は違いますがじっくりみると、それぞれがそれぞれに本物なのです。
こういった私のフィードバックを聴いて先生が「それこそがアートの本質なんですよ」とコメントされていて妙に感動してしまいました(笑)
世の中の人全てが自分のアートの個性を表現する力を手に入れたら、とてつも無く素晴らしい世界になるでしょうね。
でも先生は「アートに携わる人はそれを才能の世界と片づけようと片づけようとする」と言っていました。逆にこの考え方こそアートの本質と程遠い感じがしますね。これでは多くの人がアートに携わる事を諦めてしまうでしょうね。
まぁ、ちょっとできる人は排他的な世界を作りたいし、諦めたい人には言い訳が欲しい等々、こういった事は巷で良く聞く話ですしわからなくも無いですが、ただ、可能性のある人をいたずらに遠ざけてしまうのは罪だなと思います。コーチングとも繋がる話ですね。
⑥「後遺症」
ちなみに、このワークショップは普段使わない脳の使い方をするので、脳が混乱して日常生活に支障が出ることがあるらしく、施設に宿泊することを推奨されます(公営施設ですので高額ではありません。儲け目的ではないってことです)。
私は家が近かったのですが、念のため一番リスクのある日に二泊しました。
心の底では、「脳が混乱する様な刺激を話の種にむしろ食らってみたい」なんて不謹慎な事を考えていましたが、結果としては二日目に脳の頭頂部に妙に熱を持った位ですみました(先生の見解では脳梁に負荷がかかっている可能性だそうです)。
「なんだこんな程度か」と軽く残念なぐらいに考えていたのですが、なんとワークショップ終了の翌日に普段感じたことの無い部位複数カ所で頭痛が発生しました。不謹慎に何か起こる事を期待して後悔しました。どんな理由があるにせよ頭痛はきついもんでした。。
⑦「1週間経過して」
1週間経過後の今残っているワークショップの影響(効果)は、
・センシング(五感でひたすら受け止める)モードは意識的に起動可能です
・上記が影響しているのかもしれませんが、妙に集中力がある気がします。心が動じない感じもあり。そう言えば先生は「観る(右)モードは瞑想と似ている様です」と言ってましたっけ。。
・絵を描く力の持続は絵を描いて無いので正直わかりません。ただ、ちょっと時間をかければ何とかやれるだろうという楽観が常に心にあります
・仕事(能力開発、コーチング、組織変革、ファシリテーション)に使えるヒントをどっさり手に入れる事ができました
・アートする悦びを体感した満足感は心をずっと充足させています
という感じで今回はおしまいにします。それではまた。
どちらかというとオンタイムでの活動に関する出来事、感じたことを題材に書くつもりです。 題材のテーマは、仕事全般、キャリアデザイン、パフォーマンス向上、コミュニケーション、人材開発トレンド等々が中心になると思います。 もし気が向いたらご覧ください。 そしてさらに気が向いたらフィードバックや気になっているキーワードを教えてください。相互にアンテナ化しませんか?
2011年8月19日金曜日
2011年8月14日日曜日
5日間で絵が上手くなる?
5日間通うと絵を描く力が圧倒的に向上するというワークショップに参加してきました。
見つけたのは気に入っている本「ハイコンセプト(ダニエルピンク)」にたまたま載っていたからですが、その本によると、右脳の力をきちんと活用すると信じられない事が出来る様になるのだとか。。
参加者のワークショップ参加前と後の作品も載っていましたが確かに全く違う!
おまけに、今迄と違う脳の使い方をするので、他にも色々な変化が起こる事も有るそうです。
絵が上手くなる(と言うか描ける様になる)なんて考えた事もありませんでしたし、右脳を活用出来る様になる可能性もある、場合によっては、能力開発上の新たなヒントを得られるだけでも大きな事です。
早速ネットで調べてみると、日本でもやっている様です。
これは「行かなくてどうする?」でしょう。それでも、5日間もかけるし、まとまったお金(11万+α)もかかる躊躇がありましたので、説明会に参加して見たところ、先生は個性的でなんか持っていそうな空気が感じられます(本物の匂いっていうのかな)
そんなこんなで参加の覚悟を決めました。
(ちなみに、主目的は、仕事がら絵の上達より、能力開発の方です)
(でもでも、絵を描く事に強烈な劣等感を持ってから40年以上。。そんな事が果たして可能なのでしょうかねぇ?)
ワークショップは、あっという間の5days(ちなみにこれワークショップ名ね)でした。そして、こころ的には色々と上がり下がりタップリの日々でありました。
初日は怪訝、2日目は折れる寸前、3日目の前半まで凹み後半に面白くなってきて、4日目は描く悦びに漬かり、5日目に戸惑う。。うーん波乱万丈。(注:個人差かなり有り)
でも間違いなく、内容的に学習的に非常に濃厚な時間でした。
セッションで教える内容やテクニックは、何気にまっとうなものでした(本質的に重要な事をじっくりとやる感じ)。
先生曰く、「描く技術」では無く、「みる技術」を鍛える内容なのだとか。
決して怖い怪しいことはしません。
そして、そういった内容を、従来のやり方をなるべく遮断して、右脳系機能(右モードと呼ばれていました)を活性化させながら実施していました。
(この後に続く方を考えて細かい内容はあえて割愛します。内容を読んでわかった気になっちゃうと学習効果が相当下がるし、参加するモチベーション下がったりしますからね)
このワークショップで私は大変色々な学習的おミヤゲをいただけた気がします。最近のワークショップでも投資対効果は非常に高い部類に入ると思いました。
なにより40年も持ち続けた絵に対するコンプレックスが取り除かれて、
絵を描くというアーティスティックな悦びとはどういうものなのかを体感できたことは何ものにも変えがたいもののような気がします。
もしよろしければ皆さんも検討してみてはいかがでしょうか?
「5ディ」
アート・アンド・ブレイン
さて、そんなこんなでワークショップの効果がどうだったか?(ここが一番気になるでしょう?(笑))
ワークショップ参加前に課題で描いた作品と最終日に描いた作品がありますので、是非ご覧下さい!
ちなみに、最終日の作品は8割強を利き手の逆でやりました。
追伸:
折をみて、描く事以外の効果にも触れたいと思います。
登録:
投稿 (Atom)