あるフリーランスの物語。
独立を考え始めていた会社員時代。独立後の名刺にはこだわりがあった。
「会社の名刺はずーっと白地に明朝文字。本当によその会社と比較してかわり映えしないよなぁ。やっぱり名刺ってやつはある意味アイデンティティを象徴するわけだからクリエィティブである必要があるはずだ。よーし、俺は色やデザインにこだわりを持ったセンスあふれる名刺を作ってやるぞ!」
そして独立。
「さーて、独立したが名刺がまだだな。これでは人と会うのもままならないぞ。未だに名刺ができていないなんて言語道断。営業経験者って誰も信じてくれないだろうな。やばいやばい」
そして検討
「。。。うーん。だめだアイデアが降ってこん。。考えてみればそもそもデザインって全く縁遠かったじゃないか。どうしよう」
必死にググる男。ひょんなことから写真を名刺にできるサイトを発見。
「おお、これだ。この間行ったタヒチの海の写真を背景にしよう。美しい風景だしイメージアップにつながるかもしれない」
そして最初の名刺誕生。
「おお、なかなかオシャレじゃないか。悪くないかもしれないな。でも俺の商売と全く無縁のエスティティシャンかなんかの名刺みたいになってしまったな。まぁいいか。。」
ある異業種交流の飲み会。そもそも、この手の会でリラックスできない男は営業スマイルを浮かべながらおそるおそるベテランの営業マンに名刺を渡す。ベテランの営業マンは、
「。。。。字が読めねぇ。そもそも名前が読めねぇ名刺なんてなんの意味があるんだ?営業からするとありえないな。」
もしかしたら年齢とアルコールでお目が遠くなられているんでは?というセリフを意志の力で抑え込み、「なるほどそれもそうだ」と反省。新しい名刺作ることに。
今度もネット注文系で挑戦。
「そうそう、そもそも自分は色やフォントにこだわりを持ちたかったんだ。よーし、色は青に緑が少しかかったやつにしよう。フォントはそうだな。。かたい明朝はやめてポップ体だ!」
変に興奮して妖しい目つきでオプションをつけまくる男。
名刺ができあがる。
「むぅ。。ちょっと想像できなかったものが出来上がったかも。。むぅ。。」
そして新しい名刺を配り始める。
コンサルタントに渡す。
「ほほー、これはこれは面白いですねぇ」
(笑顔だが本音が見えない表情)
商談時にお客様に渡す。
「ほうっ。なるほど。。」
(怪訝そうな無表情)
仲のよい後輩に渡す。
「へぇーっ、なんかキャバ嬢ぽい名刺っすねぇ。僕こういうの2,3枚持ってますよ」
。。。やっぱりぃ?やっちゃった俺?
ためしに次に名刺を渡す時に一言付け加えてみた。
男「いやぁ、よくキャバ嬢の名刺みたいだって言われるんですよ。ワッハッハ」
別のコンサルタント
「やっぱりそうですか。いやー、なんと申し上げてよいかわからず困っていたんですよ。ワッハッハ」
(グサッ!そのセリフがトドメとなり男の心は折れた)
かくして、男は人に名刺を渡すことに恐怖を覚え、交流の場や商談の場に出るのが億劫になっていくのであった。
減らない箱詰めの名刺を見て心を暗くしながら。。
続く。
独立を考え始めていた会社員時代。独立後の名刺にはこだわりがあった。
「会社の名刺はずーっと白地に明朝文字。本当によその会社と比較してかわり映えしないよなぁ。やっぱり名刺ってやつはある意味アイデンティティを象徴するわけだからクリエィティブである必要があるはずだ。よーし、俺は色やデザインにこだわりを持ったセンスあふれる名刺を作ってやるぞ!」
そして独立。
「さーて、独立したが名刺がまだだな。これでは人と会うのもままならないぞ。未だに名刺ができていないなんて言語道断。営業経験者って誰も信じてくれないだろうな。やばいやばい」
そして検討
「。。。うーん。だめだアイデアが降ってこん。。考えてみればそもそもデザインって全く縁遠かったじゃないか。どうしよう」
必死にググる男。ひょんなことから写真を名刺にできるサイトを発見。
「おお、これだ。この間行ったタヒチの海の写真を背景にしよう。美しい風景だしイメージアップにつながるかもしれない」
そして最初の名刺誕生。
「おお、なかなかオシャレじゃないか。悪くないかもしれないな。でも俺の商売と全く無縁のエスティティシャンかなんかの名刺みたいになってしまったな。まぁいいか。。」
ある異業種交流の飲み会。そもそも、この手の会でリラックスできない男は営業スマイルを浮かべながらおそるおそるベテランの営業マンに名刺を渡す。ベテランの営業マンは、
「。。。。字が読めねぇ。そもそも名前が読めねぇ名刺なんてなんの意味があるんだ?営業からするとありえないな。」
もしかしたら年齢とアルコールでお目が遠くなられているんでは?というセリフを意志の力で抑え込み、「なるほどそれもそうだ」と反省。新しい名刺作ることに。
今度もネット注文系で挑戦。
「そうそう、そもそも自分は色やフォントにこだわりを持ちたかったんだ。よーし、色は青に緑が少しかかったやつにしよう。フォントはそうだな。。かたい明朝はやめてポップ体だ!」
変に興奮して妖しい目つきでオプションをつけまくる男。
名刺ができあがる。
「むぅ。。ちょっと想像できなかったものが出来上がったかも。。むぅ。。」
そして新しい名刺を配り始める。
コンサルタントに渡す。
「ほほー、これはこれは面白いですねぇ」
(笑顔だが本音が見えない表情)
商談時にお客様に渡す。
「ほうっ。なるほど。。」
(怪訝そうな無表情)
仲のよい後輩に渡す。
「へぇーっ、なんかキャバ嬢ぽい名刺っすねぇ。僕こういうの2,3枚持ってますよ」
。。。やっぱりぃ?やっちゃった俺?
ためしに次に名刺を渡す時に一言付け加えてみた。
男「いやぁ、よくキャバ嬢の名刺みたいだって言われるんですよ。ワッハッハ」
別のコンサルタント
「やっぱりそうですか。いやー、なんと申し上げてよいかわからず困っていたんですよ。ワッハッハ」
(グサッ!そのセリフがトドメとなり男の心は折れた)
かくして、男は人に名刺を渡すことに恐怖を覚え、交流の場や商談の場に出るのが億劫になっていくのであった。
減らない箱詰めの名刺を見て心を暗くしながら。。
続く。
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